マーケティングにおけるポジショニング
前回のコラムでセグメンテーションに触れ、製品やサービスが多様化すると、伝えるべき内容が違ってくること、顧客はそれぞれに違うので認知から理解を深めてもらうためには伝えるメッセージも個々人の嗜好を考慮した内容のほうが話が通じやすいということを紹介をしました。
まさにこの分野においてIT、デジタル・マーケティングが力を発揮する領域というのはこのコラムをご覧の方にはご理解いただけると思います。
ツールは揃っているのだけれど、さてどのようなメッセージを届けるのが効果的なのだろう?起業家は勿論、マーケティング担当者もこのコミュニケーションに相当に頭を悩ますことになります。
そのメッセージを考えていくうえで大事な要素の一つが、自社(製品・サービス)のポジショニングではないでしょうか。教科書的な書き方をするとこんな感じです。
ポジショニングとは、見込み客のマインドにブランドをどのように位置づけたらよいのか、というマーケティングの重要課題である。:恩蔵 直人 (著) 「マーケティング」より
本来は、製品やサービスが設計される前にポジショニングが決められていないといけないとう考え方が優勢ですが、ITテクノロジーを使って解決できる課題を先に見出した場合などはやはり後付けになってしまうこともあるだろうと実務家としては考えるところです。
ポジショニングは「重要性」「独自性」「優位性」の3条件を備えていることが重要とされていますが、一番の売りが何なのかがやはり大事であり、これをマーケティング用語ではUSP(ユニーク・セリング・プロポジション)という言葉で表したりします。
この一番の売り(USP)を含め、見込み客がどのように、ブランド、サービス、製品をどのようなイメージで認識するのかがマーケティングの仕方によって変わってくるということです。
例として、その認識が高級感や丁寧さを常に感じさせるメッセージを選択すべきか、親しみやすさを感じさせるメッセージを選択すべきかがおのずと変化するのは理解いただけると思います。
参考までにポジショニング展開の3つのミスという表をご紹介して今回は終わりにしたいと思います。
特徴 | 原因 | 直接的な影響 | |
---|---|---|---|
アンダー・ポジショニング | 希薄なポジション | コミュニケーションが不足 切り口が不適切 |
顧客による無関心 |
オーバー・ポジショニング | 狭いポジション | 焦点の設定が不適切 | 顧客による敬遠 |
混乱したポジショニング | 複数のポジション | コミュニケーションが一貫性を欠く | 顧客による混乱 |
出典:恩蔵 直人 (著) 「マーケティング」より
Buildersのマーケティングコラムはマーケティング初心者にもわかりやすくをコンセプトにしていますので、あまり難しい話に持っていかないようにしています。ただ、今回のテーマであるポジショニングの話も勘が良い方なら、「これは自社の事業ドメインをどう定めているかによっても変わってくる話だよな?」と感じられたはずだと思います。
Buildersはデジタル・マーケティングが主要テーマではあるのですが、マーケティング自体の重要性がどんどん高まっており、理想としては「組織全体がマーケティング志向を有すること」と言われるような時代だったりします。
ですので、より深く知りたいと感じた方には経営学や消費者心理学、行動経済学の方面の知識を学んでいただくと、ウェブマーケティングやデジタルマーケティングの分野で活かせることがたくさんあると感じていますので、できるだけ堅くならないように配慮しながら、デジタル・マーケティングに活かせる多方面の情報を紹介していれけばと考えています。